突然の訃報で、葬儀に参列しなければいけない!そんな時でも、慌てず対応できるように日頃から準備しておくことがあります。また、受付でのあいさつや、香典の渡し方など、守るべきマナーもあります。
ここでは、葬儀に参列する時のマナーや、日頃から準備しておくべきもの、香典の相場などを紹介します。
数珠にふくさ、葬儀に参列する前に準備しておくべきもの
葬儀に参列する際には、必要なものがいくつかあります。訃報は予告なく来るもので、準備に時間をかけられないこともあるので、普段から大人のマナーとして冠婚葬祭に必要なものをそろえておくように心がけましょう。
通夜や告別式に参列する時の基本的な持ち物として、香典、袱紗(ふくさ)、数珠があります。数珠は、お焼香をする時に、手に持ちます。宗派によって異なる「本式数珠」と、すべての宗派で使える「略式数珠」があります。
数珠は仏教式の場合に必要となりますが、略式数珠ならどの宗派でも使えるので、どの宗派かわからない時は略式数珠を持参します。数珠は他の人と貸し借りはできませんので、必ず自分の数珠を用意して忘れずに持っていきましょう。
数珠もさまざまな種類がありますが、一般的に男性は大きい珠の数珠、女性は小さい珠の数珠を使います。色や素材は特に決まりはありませんが、宗派や地域の慣習があればそれに合うようにします。数珠を持って供養する時には、左手にかけて右手を添えるように合わせるか、合わせた両手に数珠をかけて、親指で軽く押さえるようにして合掌します。
袱紗は、香典を入れた袋を包む布のことです。受付で香典を渡す際に、香典袋のまま取り出すのはマナー違反になりますので気をつけましょう。袱紗は結婚式のお祝いにも使いますが、葬儀で使用する場合は、派手な色や明るい色のものは避けて、黒、グレー、紺、濃い緑色など用意します。紫色の袱紗は、お祝い事でも、葬儀でも両方に使える色となっていますので、これから用意するのには紫色を選ぶとよいでしょう。弔事は左開き、慶事は右開きと、使い方も違いますので注意しましょう。
ほかにも、準備が必要なものとして、葬儀に使える黒いバッグ、白か黒のハンカチ、真珠のネックレス、ベルトなどの小物があります。アクセサリーは、結婚指輪、真珠のネックレスやイヤリングなら付けても良いとされていますが、ブレスレット、ファッションリング、ネクタイピン、カフスは身につけないようにします。傘、手袋、替えのストッキング、手伝いをする際に使うエプロンなどもあると便利です。小物も、派手な色や光沢のある素材は避けて、黒などで統一しましょう。
お香典の相場と不祝儀袋の書き方とは?
葬儀に参列する際には香典を用意しますが、相場はいくらくらいなのか気になりますよね。会食には参加せずに、僧侶の読経や焼香など法要のみに参加する場合には、5,000円~10,000円程度が相場となっています。故人とどのくらい親しかったか、自分の現在の地位、役職等などによって金額は変わります。
食事の金額も包むのがマナーですが、実際の料理がいくらになるのかわからないので、法要のみに参加する時より5,000円~10,000円程度を多めに加え、香典として包むようにしましょう。また、友人同士、夫婦連名で香典を包む時には、一人で出す金額を単純に人数分にするのが通常のマナーです。1人5,000円包むつもりなら、5,000×人数分となります。夫婦連名で香典を持参する場合に、故人が親戚なら1人分の金額でも問題ありません。
香典の金額は、「偶数」および「九」を避けるのがマナーとなっているので注意しましょう。偶数は「割る、切れる」ことを連想させるものとされていて、特に「四」と「九」は、それぞれ「死」や「苦」につながるため、縁起が悪い数とされています。
香典袋は宗教や宗派によって異なります。香典袋の水引の上中央にいずれかの表書きを記載し、氏名は香典袋の水引きの下中央に、御香典等の表書きよりもやや小さめに書きましょう。毛筆書きが一般的ですが、筆ペンで書いても問題ありません。ボールペンやサインペンは控えた方が無難です。
御香典・御仏前・御霊前・御香料・御香華料・御弔料・御悔・御佛前・御供・の9つのいずれかひとつが使われます。浄土真宗では、「御霊前」を表書きにすることはNGなので、注意が必要です。
●キリスト教
カトリックの場合には、「献花料」または「御ミサ料」と、表書きした香典を持参します。なお、水引の有無は問われず、袋の色に関しても自由となっています。プロテスタントの場合も、追悼ミサに参加する際に、「献花料」または「弔慰料」と、表書きした香典を持参します。「御霊前」という言葉は使いません。プロテスタントの場合も、水引の有無や袋の色は自由です。
●神道
「霊祭」と呼ばれる行事があり、自宅や故人のお墓で行われることになります。香典には不祝儀袋を使用します。表書きには、御神前・御玉串料・御神餞料(ごしんせんりょう)・御供・御榊料(おんさかきりょう)・幣帛料(へいはくりょう)のいずれかを記載します。水引は銀色となっています。
通夜・告別式に持参する香典の不祝儀袋の表書きなどには、薄墨を使用します。急いでいた、涙で墨が薄まった、という意味があります。法事の場合は、行われることがわかっているため、濃い墨でも使用可能です。
香典袋の中袋の表には、包んだ金額を記載します。縦書きで漢数字で書くようにしましょう。5,000円の場合なら、金五千円と記載します。中袋の裏には、郵便番号・住所・氏名を記載します。紙幣は、中袋の裏面に向けます。
連名での香典で、中袋に氏名が書ききれない場合には、中袋へ紙幣と一緒に、明細を入れておきましょう。もし、香典返しを望まない場合には、「香典のお返しはご無用に願います。」と書いた紙を、中袋へ入れておくと良いでしょう。
受付での挨拶やマナー、お香典の渡し方はどうすればいい?
葬儀に香典を持参する時には、通夜・告別式のどちらでも構いませんが、両方に参列するなら通夜で渡すのが一般的です。両日とも香典を持っていくのは、不幸が重なるという失礼な意味になりますので避けましょう。告別式の受付では、「通夜の時にお持ちしました」と伝えます。
香典を持参する際には、そのまま持ち歩くのではなく、袱紗に包みます。受付では、「このたびはご愁傷さまでございます」、「心からお悔やみ申し上げます」などお悔やみのあいさつをして、袱紗から香典を取り出して、表向きの名前を受付に向けて渡します。そして、会葬者名簿に記帳します。通夜の場合には、受付がない場合もあるので、その時は、祭壇に供えます。
まとめ
葬儀に参列する際に必要なもの、香典の相場や渡し方のマナーを紹介しました。突然の訃報に慌ててしまうこともありますが、いつでも起こりうる事として、日頃から準備をしておくと安心ですね。