形式が大切!仕事で送る『社交文書』の書き方と意味

仕事をしていく上で、取引先に送付する文書の中には、仕事そのものに関するメールの他に、お礼状や感謝状、挨拶状といった儀礼的な役割を果たす文書があります。

こういった文書のことを『社交文書』と言います。

社交文書の役割で重要なのは、普段実際に会ったときにかわす挨拶を文書として明示的に相手の手元に送ることにありますので、社交文書を送る相手と進めている仕事の内容を社交文書に盛り込むのはNGとされています。

仕事の話は社交文書とは別のメールなどで送ることがマナーです。

そんな文書が必要なのか、と考えるかもしれませんが、仕事をしていく上で挨拶もできないような相手とは円滑にコミュニケーションをとることは難しいですよね。

社交文書もコミュニケーションの手段のひとつです。

これを欠かすことはビジネスマナー違反となってしまいます。

では、社交文書を書くに当たってのポイントを紹介していきます。

社交文書を書くときのポイント
1)縦書きにする

一般的なビジネス文書というのは、ほとんど横書きとなっていますが、社交文書に限っては『縦書き』にすること、とされています。

これは仕事上の文書とはいえ、社交文書が独特の位置を占めていることからこのようになっています。

そして社交文書をしたためる紙についても、TPOに合った便箋を利用するようにしましょう。仕事で使うコピー用紙などは厳禁です。

2)文頭に季節の挨拶を盛り込む

社交文書を書くにあたっては、定型文がふんだんに用いられます。

文頭に入る季節の挨拶文も同様です。

個人に手紙を書くときにも季節の挨拶を盛り込むことがあるかと思いますが、社交文書の役割として相手を重んじ、礼節を示すことがありますので、社交文書において用件のみというのは相手を軽んじていると受け取られてしまいます。

どのような季節の挨拶を盛り込むかは、時季によって異なりますので自分で季節の挨拶文の例を調べ、適宜変更しましょう。

以下に、挨拶文の例を提示しておきます。

1月 新春の候、大寒のみぎり、寒さが一段と厳しい季節ではございますが、
2月 立春の候、梅花のみぎり、寒さも少しずつ緩む季節になってまいりましたが、
3月 早春の候、春暖のみぎり、桜のつぼみも膨らんでくる季節になりましたが、
4月 花冷えの候、桜花のみぎり、桜の花吹雪が美しい季節になりましたが、
5月 青葉の候、新緑のみぎり、駆け足で春が通り過ぎ、初夏を迎えましたが、
6月 初夏の候、長雨のみぎり、紫陽花が雨に映える季節となりましたが、
7月 盛夏の候、梅雨明けのみぎり、暑さも厳しい季節になりましたが、
8月 晩夏の候、残暑のみぎり、まだまだ暑さが続く季節ではございますが、
9月 初秋の候、秋晴のみぎり、厳しい残暑が続いておりますが、
10月 夜長の候、爽秋のみぎり、日ごとに秋らしさが深まる季節になりましたが、
11月 晩秋の候、霜寒のみぎり、すっかり秋も深まってまいりましたが、
12月 初冬の候、歳末のみぎり、今年も残りわずかとなってまいりましたが、

上記の文例はあくまで例ですので、自社のスタイルに合わせて変更することが必要になります。

3)社交文書の体系

社交文書は一定の体系があります。これを無視して好きに書いていては社交文書とは呼べません。

始めに頭語といって手紙の一番はじめに書く挨拶を挿入します。これは『拝啓』『謹啓』と書きます。その他の頭語として『前略』がありますが、前略は個人がごく親しい相手に送る手紙に用いられる語句とされていますので、社交文書には使用しません。

次は、前文です。季節の挨拶文に加えて、先方の現状にお伺いを立てるような内容を書くのがマナーです。

そして本題である主文に入ります。入る前に流れを変えるひと言として、『さて』『つきましては』といった言葉を書きます。

手紙をしめる時には『まずはお礼申し上げます』などの定型文を添えましょう。

そして、宛名と社交文書を作成した年月日を書きます。

手紙の最後は頭語と対になる結語を忘れずに挿入します。

『拝啓』と頭語に書いた場合は『敬具』など、『謹啓』と頭語に書いた場合は、『謹言』などを書きます。

4)社交文書の種類毎の参考例

では、社交文書とはどのような文書があるのでしょうか。

その一例を紹介します。

・見舞状

見舞状といっても、その内容は様々あります。暑中見舞い、病気見舞い、災害見舞いなど大きく分けると、季節、病気怪我、災害にわかれます。いずれも相手の様子を気遣うことが大切になります。

・挨拶状

仕事の区切りなどのタイミングで取引先や担当者に当てて送る社交文書です。これがあるとないとではその後の仕事や人間関係に大きく影響を及ぼすこともあります。転勤・退職のお知らせなど、これまでの感謝、これからの思いなども伝えるようにしましょう。

・お礼状

相手に対して感謝の気持ちを伝えるための社交文書です。定型文にこだわらず先方にこちらの感謝の気持ちが伝わるような書き方が望ましいとされています。

・案内・招待状

説明会や展示会などのイベントへの案内時に送る社交文章。出来合いの案内状に宛名を書いただけで送るだけよりも、書状を添付することで、案内状の訴求力が断然高まります。

ビジネス文章で使用する慣用句・慣用表現例一覧

慣用句とは、長く広く使用されてきたもので、主に定型文とてして使用されます。
ビジネスで使いやすい定型文を一部紹介します。

頭語と結語

一般的な場合 拝啓ー敬具
丁寧な場合 謹啓ー敬白
返信の場合 拝復ー敬具

安否

1 ますます いよいよ
2 ご清栄 ご健勝 ご清祥 ご発展 ご隆盛 ご繁栄 ご活躍
3 のこととお慶び申し上げます。

のことと大慶に存じます。

のこと何よりと存じ上げます。

の由何よりと存じ上げます。

1~3をつなげる

感謝

1 常々 毎々 毎度 日頃は 平素は この度は いつも
2 格別の 特別の 何かと ひとかたならぬ
3 お引き立て お世話 ご厚情 ご愛顧 ご指導 ご支援 ご高配

ご配慮 ご用命

4 にあずかり をたまわり をいただき
5 御礼申し上げます。

誠にありがとうございます。

感謝いたしております。

厚く御礼申し上げます。

深謝申し上げます。

1~5をつなげる

起辞

1 さて ところで 実は ついては つきましては なお まずは 取り急ぎ とりあえず
2 末筆ながら 略儀ながら 書面を持って 書中にて

1~2をつなげる

終わりの挨拶

通知 まずはご連絡申し上げます
配慮 今後ともよろしくお引き立てをお願い申し上げます
案内 まずは取り急ぎ、ご案内申し上げます
詫び あしからずご了承たまわりますようお願い申し上げます
紹介 まずはご照会申し上げます
断り 遺憾ながら、貴意に添いかねますので、あしからずご了承のほどお願い申し上げます
依頼 まずはご依頼申し上げます
回答 まずはご返事申し上げます
その他 時節柄ご自愛のほど願いあげます

 

【名詞】について相手(尊称)自分(卑称)の使い方

自分・卑称1 相手・尊称1
自分・相手 私、わたくし 様、貴方様、貴殿
自分・相手(複) 私ども、わたくしども 皆様、各位、両名、双方、お二方、先方・先方様(第3者)
上司、上役 上司、役職の姓
(例:部長の斎藤)
貴殿、貴台、尊台、貴職、貴(役職)
社員、職員 弊社社員、当会職員、当社の(姓)等 御社社員、貴会職員、御社(姓)様 等
会社・団体 弊社、小社、当社 貴社、御社、貴会、貴店、貴課
父母 父、母、老父、老母、両親 お父様、お母様、ご両親様、お父上、お母上
夫妻 夫、主人、妻、家内 ご主人様、奥様、奥方様
子供 子供、息子、娘 お子様
家族  家族一同、私ども、一統、一同 ご家族の皆様、ご家族皆々様