入社してさっそく海外転勤?聞いてないよ!

ブラック企業という言葉は昔から存在していましたが、SNSの普及により個々の労働者の小さな悲鳴が世間に届きやすくなったことや現代化に伴う、社会全体の労働環境の見直しなどで、昨今、特によく耳にするようになりました。

自分が働いている会社がそうだという自覚はありませんでしたが、退職した今となって思い返せば、”超ブラック”とまではいかないまでも、決して”ホワイト”ではなかったと思います。

私は現在33歳の男性です。
お話する会社は一般的な雑貨類の仕入れ・販売を主とする会社で、ハローワークにて求人を見て応募しました。
応募した際、その会社に面接をお願いしたい旨を伝えると、ハローワークの方から電話にて連絡をとってくれました。
「明日はいかがですか」とのことで、すぐに働き始めたかった自分としては喜んで応じました。

そして、翌日、実際に会社に出向き、愛想のいい女性従業員の方に面接用の部屋に案内されました。
道中、ちらっと社内の雰囲気を見ることが出来ましたが、とくに緊迫した職場ではなく、むしろやわらかい雰囲気でした。

部屋に通されたときには、すでに会社の重役と思しき男性と女性が着席していました。
その時点ですでにかなりの威圧感を放っており、「どうぞ」という声を放つ際にも、こちらを一切見ない無愛想な雰囲気でした。

挨拶の後、着席し、履歴書を提出すると、男性の方が目を通しはじめました。
女性の方は覗き見る程度で、ほかは私と世間話に近い会話をしていました。
一通り目を通し終えた男性から、経歴について2、3の質問を受け、緊張しつつも回答をすすめるうち、急に「海外はいけるか」という話になりました。

学生時代の修学旅行で中国に行ったことがある、英語は日常会話程度なら、という返答をしながら、「ここでの返事次第でいきなり海外勤務になるのか?」という不安と葛藤していました。
ただ、「早く就職を決めてしまいたい」という思いから、YESという旨の返事をしてしまいました。

話してみると、少し前まで放っていた威圧感もなく、少しホッとしてしまったことで、そのような返事をしてしまったのかもしれません。
結果としては、今後、将来的に海外への展開も考えているということであり、そのことも含めての話だったというだけで、後日、採用の連絡をいただき、いきなりの海外勤務も免れました。

初出社の日、あらためて緊張しながらも、挨拶とともに到着すると、すぐに皆の前で挨拶をするように指示を受けました。
そのときに、ようやく、面接してくださった方が社長とその奥様だったことを知りました。

なんとなく偉い人だとは思っていましたが、まさかトップの方だとは思いもよらなかったです。
通例どおりの普通の挨拶をし、先輩に教わりながら通常の業務にあたり、とくに変わったこともなく一日を終えようかという時間になったとき、別の先輩から「今日、夜いける?」と聞かれました。

歓迎会をしてくださるとのことで、とくに予定もなかったため、ありがたく参加させていただくことにしました。
会場に到着すると、すでに到着していた方たちが準備をしてくださっており、言われるがままに席に着きました。
全員が揃ったところで、社長と奥様も到着し、簡単な言葉と乾杯から歓迎会がスタートしました。

初めてお会いする方もいらっしゃいましたので、自分から申し出て、皆の前であらためて、今回は少し冗談も交えながら自己紹介をしました。

入社してまもなく、とんでもない発表が・・・

ある程度、お酒もすすみ、食事もひと段落したとき、社長の方から「発表がある」ということで皆、話を聞く体勢になりました。
それは、前置き一切なしで私を「海外勤務にする」という発表でした。

海外に展開するという話自体は社員は皆、知ってはいましたが、それがいつ、どこの国に、どのような形でということは誰も知らなかったようで、驚きの声と、シンプルに会社の躍進と捉えた喜びの声があがりました。

しかし、私にとっては、その話は面接の段階で一度無かった話となっていたため、驚きしかなく、きょとんとする他ありませんでした。
話の続きでは、場所は中国、メンバーはその日に仕事を教えてくれた先輩と私の二人、現地での出店場所の探索からスタートという漠然としたもので、「あ、酔った勢いでのことかも」と安心しました。

その日はそれ以上の話はなく、普通の歓迎会となり、終電より少し早いくらいの時間に解散となりました。

翌日出社し、昨日と同じように、また同じ先輩からいろいろと教わりながら業務にあたっていましたが、午後からの少し落ち着いた時間になると、その先輩から「じゃあ、中国の件すすめるか」と突然、切り出されました。

私はとっさに、「それ、本当なんですか?!」と口にしてしまい、逆に先輩が驚くという不思議な空気になりました。
先輩いわく、場所や時期は未定ではあるがいずれ自分が担当になることは言われていた、その日の午前の間に社長から、「今日からでも進めるよう」指示を受けていたとのことでした。

自分の目の前で、”海外勤務”が具体的な話なのか、まだ未定な話なのかが二転三転し、ただ、今になってついにそれが具体的に進行が始まる話だということが確定したことで、急な不安と会社、とくに社長への疑念が沸きました。

応募した際の求人情報には”海外勤務”の可能性を示唆する文言はありませんでしたし、面接でもそれが具体的に言い渡されたわけではありません。

面接で「いずれは海外に勤務してもらうことになる」と一言でも言われていれば、入社を辞退するか、あるいは心の準備が出来たはずです。
もはや怒りにも近い感情になってしまっていた私は、それが顔にも出てしまっていたようで、先輩から「この会社はこんな感じだよ」と、おそらくなだめるつもりで言ってくれたのでしょうが、その言葉にすら苛立ちました。

自分が本当に中国に行くことになるのか、どのくらいの期間行くことになるのか、あちらで何をするのか、何もわからないままに、その日はまるで自分のことではないかのように話を進めていた記憶があります。

数週間、具体的な話を詰めていきましたが、実際はほとんど先輩がまとめてくれました。
社長への報告の際には、「じゃあ、それでお願い」という軽い感じで話がまとまってしまい、歓迎会と同じ飲食店で今度は壮行会のようなものが開かれ、数日後には中国へ旅立っていました。

結局、自分の弱腰な性格から、なし崩し的に1年間の中国生活をし、日本へ戻った時には役職が付きましたが、自分の中の不信感は1年前と変わりなく、1か月の後処理と引き継ぎの後、退職を願い出ました。

この会社をブラックだと思うかどうかは人それぞれだと思います。
しかし、ワンマン経営の会社に入ったがために、社長の思い付きひとつで自分の生活がガラっと変わってしまったという言い方をすれば伝わるでしょうか。

もし、いま就職活動中、あるいは転職を考えているという方は、くれぐれも面接時や入社後も会社や幹部の雰囲気に気を付けてください。
権力ある立場の人の指示や発想が、そのまま通ってしまうような環境では、いつ自分の身に何が起こってもおかしくありません。
求人情報にはそれが記載されていませんので、自分の観察力や注意力で察知するしかありません。

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