実際に、お詫びをすることになった場合、どのように振舞えば良いのでしょうか。また、どのような心構えで相手に接すれば良いのでしょうか。ここでは、お詫びや謝罪の事例についてQ&A形式で紹介したいと思います。
こちらがミスしたことについて相手がまだ知らない場合
- Q: 仕事のミスが休日に発覚しました。クライアントに知らせるために、相手の携帯電話に連絡をしたほうが良い?
- 大事故・大きな損害につながる場合は速やかに連絡を!
ミスの内容にもよりますが、相手に知らせなかった場合に、大事故や大きな損害になると予想される場合は、休日でも速やかに連絡すべきです。『お休みのところ大変申し訳ござません』という前置きも忘れずに。
ただし、仕事とプライベートをはっきりと分けている人もいるため、今すぐに知らせなくてもよい内容であれば、携帯電話にまで連絡する必要はないでしょう。
気になる場合は、パソコンのメールで伝えておく方法も。休日でも目を通す可能性もあります。
ビジネスの相手がすでに怒っている場合の対処の仕方
- Q: かなり怒った口調で「商品に傷がついていて使用出来ない」というクレームの電話がかかってきました。対処方法は?
- 相手の怒りを鎮めてお詫びをし、内容について詳しくヒアリング。
まずは相手の話をじっくり聞くことが大事。こちらが感情的になってはいけません。きちんと謝罪の言葉を伝えてから、クレームの内容を伺うこと。
怒りが収まりそうにない時は、最初に感謝の言葉を伝えてみるのもありです。
『弊社の商品をご購入いただきまして、誠にありがとうございます』と感謝の言葉を最初に伝え、
『商品に傷がついていたとのこと、大変申し訳ございませんでした』とお詫びを。続いて、相手の気持ちに共感、ヒアリングと分析、解決案の提案へと進みます(詳しくは「11. 基本的な謝罪の方法」を参照)。
最後は『私、●●が承りました』と名前を相手に伝えます。自分が担当者として責任をもって対応するという姿勢を示しましょう。
ちょっとしたミスのお詫びをする場合
- Q: 急いで回答すべき内容だったのに、会議の延長で対応が遅くなってしまいました。どうお詫びすべき?
- 会議が終了したすぐに電話で謝罪すること! 本当は事前連絡をしておくべきだった。
とにかく、すぐに電話で謝りましょう。ただし、対応が遅れたことが原因で、予想した以上に大きな損害が生じるケースもあります。そのような場合は、相手に直接会いに行って、お詫びをすること。本来はこのような事態にならないように、事前に連絡しておくのがマナーです。
約束の時間がある場合は、余裕をもたせて伝えておくことです。10分ほど遅れると言っておいて10分を過ぎてしまうと、状況がますます悪化します。
お詫びをする時は、①お詫び ②理由 ③お詫びの順で、お詫びの間に説明を挟んで状況説明をしましょう。
すでに相手からお許しが出て、ひと段落した場合
- Q: こちらがミスをして相手に電話でお詫びしたところ『もういいですよ』と言われました。それでも、直接会って再度お詫びをしたほうがよい?
- 相手の反応をみて判断を。無理に会いに行く必要はない。
『もういい』と言っているのに、会って謝ろうとすると『重たい』と感じる人もいますので、相手の反応を見て冷静に判断すること。会うまではしなくても、メールで 『この度は不手際があり、大変申し訳ございませんでした。今後は、このように対処させていただきます』 という内容を送って、謝意を伝える方法もあります。
お許しが出ている上で、会う約束ができたなら、悪い印象は持たれていない可能性があります。信頼関係を強くする機会と思って伺いましょう。
「訴える」「責任者を出して」と言ってくる人に対応する場合
- Q: ささいなことでも「訴えるぞ」「責任者を出して」などと大騒ぎするクレーマーがいます。どう対応すべき?
- 一度時間を置く、対応する場を変更する、別の担当者に代わるなどして、相手にクールダウンする時間を与えて。
手ごわい相手かもしれませんが、クレーマーと決めつけて対応するのはNG。
『こちら側が至らなかったことへの指摘に感謝している』という旨を伝え、相手の怒りを鎮めましょう。それでも相手が怒っている場合は、一旦電話を切らせていただきタイミングを変える(時間を置く)ことで、クールダウンにつながるようにしましょう。
対面の場合は、場所を変えることで少し時間を置くことができます。それでも収まらない場合は、最終的に別の担当者に代わってもらうことで、相手に冷静になってもらいましょう
担当者のみの対応では不十分と感じる場合
- Q: 入社して間もないのですが、勉強不足によるミスでクライアントを怒らせてしまいました。相手にお詫びをするのにひとりで行くべきですか?
- 上司に同行してもらうのがベター。心を込めて謝罪することが大切。
ミスの原因が 『入社して間もないこと』 であれば、上司に同行してもらうほうが良いでしょう。新人ひとりでは解決するのが難しいことが考えられます。
また、不慣れな新人に上司が同行して謝ることは、会社として責任を持つという態度を示すためでもあります。『上司が同行することで、新入社員が頼りないと思われるのでは』と不安に感じるかもしれませんが、新人に求められるものは、誠実であること。『未熟ですが、上司の指導を受けていっそう頑張ります』という思いを示すことです。誠意ある謝罪に徹しましょう。
長きにわたって迷惑をかける可能性がある場合
- Q: メールを送信する時に、BCCで送るべき大量の一括メールを、CCで送信してしまいました。どう対処したら良いのでしょうか。
- まずは、BCCで謝罪と削除依頼の内容のメールを。加えて電話での謝罪と、今後のフォローについての約束をする。
一件ずつお詫びをしたいところですが、大量の場合は時間がかかり、かける順番が遅い人に知らせるのが遅れます。謝罪と受信したメールの削除を依頼する旨のメールを、今度は必ずBCCで送りましょう。
電話が必要な場合は、メール送信後に。最初にお詫びの言葉を伝え、今後もきちんと責任を持って対応することを伝えます。ただし、それだけでは完全に解決できるとは言えません。万が一、金品を要求されるようなことがあったらどうするかなど上司と相談しておき、部内で判断基準の周知徹底をしておきましょう。
とくに自分に落ち度がない場合
- Q: 先方の指示に従ったところ、ミスが発生しました。しかし、先方はこちら側のミスだと主張して、怒っている様子。こちら側には落ち度がないと思うのですが、お詫びするべきですか。
- 冷静な気持ちで話し合いをするために、最初に謝罪すること。
こちら側には落ち度がなくても、相手が怒っているのは事実。そのことに対して、まずお詫びの言葉を伝えること。
最初からミスの原因を伝えても、相手にとってはただの言い訳のように受け取られてしまいます。まずは 『申し訳ございません』 とお詫びし、相手の怒りの感情を鎮めることが先です。その後、客観的に事実を確認していきましょう。その中で、思い違いや誤解を解いていくこと。『どのようなミスであっても、少しは自分にも原因がある』 と思っておくことが大切です。
相手の会社に行って謝罪する場合
- Q: こちらがミスを電話で謝罪しても、怒りが収まらない様子なので、相手の会社に行くことになりました。手土産を持参する場合、どのようなことに注意すれば良いでしょうか。
- 状況によっては上司に同行してもらうこと。手土産は相手の会社の社風に合わせて。
相手の会社に行く場合、いきなり会いに行くのはかえって失礼です。電話でアポイントメントを取り、許可を得ておくこと。手土産は先方の社風などを踏まえた上で検討を。
手土産を持参する場合は『重々反省しております』『大変申し訳なく思っております』という気持ちを表すために、羊羹などの重量感のあるお菓子が最適。菓子箱の重さで、事態を重く受け止めていること、そして誠意をもってお詫びをしている姿勢を感じてもらうことがポイントです。予算は2000~3000円程度が一般的。
相手の会社の近くのお店で購入するのはNG。渡すタイミングは、相手が謝罪を受け入れた後、帰り際が良いでしょう。