友達や家族とのメールには慣れていても、社会人としてビジネスの場でメールを送るとなると、同じようにはいきませんよね。ビジネスメールは、社内だけでなく、社外の人とのコンタクトにも欠かせないもの。また「残るもの」でもあるので、送る前にはしっかり確認をし、慎重になることも大切です。
今回は、ビジネスメールの気になることをQ&A形式でまとめました。基本的なルール、マナーを押さえておきましょう。
- Q: 複数人にメールをする場合のアドレスの宛名は、立場が上の人から順に並べるべき?
- 立場が上の人順に並べるほうが、相手に好印象を与える可能性あり。
「新規のメールなど、自分の手でメールアドレスを加えていく場合、立場が上の人から並べる方が好印象でしょう。メール本文の冒頭には、送信相手の名前を並記しますが、そこでは目上の方から書くのが一般的。アドレスの並び順も、気を使って悪印象を与えることはありません。丁寧にするほうが良いでしょう」
- Q: 社外の人にメールを送る際、CCメールに社内の人を入れる時の宛名は敬称を付けるべき?
- どんなに立場が上の人でも、社内の人に対しては呼び捨てにするのが常識。
「敬うべきはあくまで社外の人です。普段から敬称をつけて呼んでいる目上の方、例えそれが社長であっても、ビジネスシーンにおいては、社外の人に対しては、社内の人を呼び捨てにするのがマナーです。ただし、社内の人向けのメールとなると話は変わりますので、その使い分けは押さえておきましょう。これは、先方と会って話をする時でも電話ででも同じ対応です」
- Q: 会社のパソコンのメールアドレス宛てにきたメールに、携帯電話のアドレスから返信しても大丈夫?
- 身元をはっきりと明かした上ならば、違うアドレスから送っても問題なし。
「先方は早いリアクションに好感を持つはずです。会社に戻るまでに何時間もかかってしまうようであれば、携帯電話のアドレスからでも返信するほうが先方にも好印象でしょう。しかし、知らないアドレスからメールがくると、『誰からのメールだろう?』と戸惑いますよね。先方に『○○会社の田中です。携帯電話のメールで失礼いたします』など、このアドレスはいつもとは違うが自分のアドレスだと理解していただける説明を初めに添えた上で、メールを送信しましょう。CCに、最初に送られてきた宛先(会社の自分のメールアドレス)を設定して送る事も、ひとつの方法です」
- Q: 送られてきたメールを「FW:」で転送する際、不要な箇所を削除しても良い?
- 自分の判断で勝手に削除する事はNG。
「削除する事で、メールを書いた人の意図する事が変わってしまう事や、勝手に削って失礼だと思われる事もあるかもしれません。どう考えてもこの文章は必要無いと判断し、削除する場合には、『(以下略)』などと明記しましょう。また、文を短くするために言葉を勝手に言い換えたりする事も許される事ではありません。送られてきたメールに敬意を払うことが大切です。自分が書いたメールが、勝手に変更されたり、強調したい箇所が削除されたりした場合を想像してみると、そのような事はしないはずです」
- Q: 送られてきたメールを引用しつつ返信する際には、どんな点に配慮するべき?
- 冒頭に断りを入れた上での引用返信がベター。「先方のメール本文の途中途中で、それに対する自分の見解や返事などを入れていくというQ&A的な形式にした方が、相手に理解していただきやすいという場合もあると思います。この形式を“インライン”と呼び、よく使われる手法ですが、人によってはその形式に馴染みがなく、失礼だと感じる方もいるかもしれません。そういったケースを考慮して、引用返信をする際には、最初に『引用返信(インライン)にて失礼いたします』などの断りを入れておいた方が無難でしょう」
- Q: 先方の連絡先を自分のアドレス帳に登録する際、考慮する点は?
- 名前に敬称を付けて登録しておく方が良い。
「社外の人から送られてきたメールを見た時、宛先の所に自分の名前が呼び捨てにされていたらどう思うでしょうか。そんな事くらい気にならないという人もいるでしょうが、“様”などが付いている方が、印象良く感じるのではないかと思います。ですので、先方の名前の後ろには“様”を付ける事を習慣にしましょう。また、メール本文だけではなく、ファイルを添付して送る際にも、そのタイトルに先方の名前・社名が入っている場合には“様”を付ける事を忘れないよう、注意しましょう」
- Q: 面識のない方に連絡を取りたい場合、初めてならば、メールではなく電話をするべき?
- 無礼を詫びる文章を添えれば、メールも大丈夫。
「正式な手順としては電話が優先です。面識のない相手から突然メールが送られてくると、相手は戸惑うばかりでなく、いきなり失礼だと思うかもしれません。本来は、直接挨拶をしてから連絡を取りたいものですが、そうはいかないケースもあります。前述したように、電話をするのが基本ではありますが、こちらの都合の良い時間にかけた電話に対応してもらう事は、先方の貴重な時間を割いていただく事になります。急ぎの仕事があるのに、と思われる場合もあるでしょう。その点、メールですと、相手は自分の都合が良い時間に対応できるなどの利点もあります。ただし、メールの最初には『ご挨拶もしないまま、このようなメールを突然お送りする事をお許し下さい』など、非礼を詫びた上で本題に入るようにしましょう」
- Q: 先方からのメールに対して、電話で返事をするのはマナー違反?
- 重要であればあるほどメールで返信するのがマナー。
「もし何かの問題が生じてしまった際、『聞いた』『聞いていない』という押し問答になる事が残念ながらよくあります。そんな時、やり取りしたメールが残っていれば、それが動かぬ証拠となり、早期にお互いが納得いく結論に落ち着く事でしょう。先方のメールの内容から、至急に返事を欲しがっていると判断した時でも、まずはメールで返信し、その後に電話をかけてメールを送った旨を伝えると確実です。もし自分が逆の立場で、先方がこちらから送ったメールを読んだか読んでいないか早急に把握したいのならば、メールソフトで“開封通知”を設定して送信しても良いでしょう」
- Q: 「頂く」と「戴く」、この2つの漢字の使い分け方は?
- 厳密には違うが、どちらの漢字を使っても間違いでは無い。
「“謙譲語”と“尊敬語”の使い分けを覚えているでしょうか。謙譲語である“頂く”は、自分が謙(へりくだ)る時に使い、尊敬語である“戴く”は、相手を敬(うやま)う時に使います。厳密に言うと使い方は微妙に違いますが、どちらも丁寧な言葉として使われていますので、どちらの漢字を使っても問題ありません。『~していただきますよう~』のような使い方をする際は、補助動詞となりますので、ひらがなで書くのが通例となっています」
- Q: 親しい相手であれば、仕事上のメールで絵文字を使って良い?
- ビジネスシーンで絵文字はNG。
「ビジネスメールは、いつ、誰に読まれても問題が無いように作成しましょう。実際、そういう状況になる事はあります。簡潔に、ポイントを押さえたメールを書く為にも、“挨拶→用件→挨拶”といったビジネスメールの“型”に沿った文章構成は必要となります。ただし、あまりにも事務的で冷たいメールですと、コミュニケーションを図る上では物足りない場合もあります。そのような時には、結びの挨拶の前に“絵文字”ではなく、あくまで“文字”で柔らかい文章を添えるのは良いでしょう。社会人としての対応を心掛けましょう」
- Q: メールの件名(タイトル)を付ける際、どの様な点に注意すべき?
- 先方がタイトルを見ただけで、内容が把握できるものがベスト。
「タイトルは、1番最初に相手の目に触れるとても重要な情報です。メールを開いて本文を読まないと内容がわからないようなタイトルは、先方にとって不親切と言えるでしょう。相手が、このメールはすぐに対応すべきかどうかの判断がつくようなタイトルを付ける事を心掛けましょう。たった1行で全てを表す事は難しいですが、例えば『○○○の件(△△△より)』など、用件と送信者名を書くと、相手もそれだけでどんな内容のメールなのか判断しやすくなり、とても親切な件名だと言えるでしょう」
- Q: 複数人にメールを送る場合、宛名の設定はCCとBCCのどちらにするべき?
- そのメールを誰に送信したか明確にしたい時は、CCに設定する事。
「CCとBCCの違いをしっかりと把握した上で使い分けましょう。CC(Carbon copy)に設定すると、メールを送信した全員にその人のアドレスが表示されるので、他に誰がこのメールを受け取ったのかが伝わる事が利点となります。片やBCC(Blind carbon copy)に設定すると、他に誰が受け取ったのかが表示されません。例えば、先方に送るメールを、自分の上司に報告がてらBCCに設定して送信すれば、先方には上司のアドレスは表示されず、スマートに報告も済むなどの使い方が出来ます。最近では個人情報の漏洩などがしばしば取り沙汰されており、保護法なども大変厳しいものです。決して間違えの無いよう、慎重に設定しましょう。」
- Q: 送られてきたメールに返信する際は、件名を変えない方が良い?
- 「Re:」が1つついた状態で返信するのがスマート。
「タイトルは変更しない方が、どのメールに対する返信なのかがわかりやすく、先方も整理が楽になるでしょう。ただし、何度もやり取りをする場合、返信ボタンを押した分だけ“Re:”の表示が増えていってしまう事もあり、タイトルが長くなるばかりで見づらくなってしまいます。その場合は“Re:”が1つになるよう修正した方がスッキリとします。メール本文に対しても、引用符を表す“>(半角)”を使って必要箇所のみを引用しながら返事を書き加えていくと、話の流れに沿う形になり、双方にとって内容が理解しやすくなったり、部分的に返事をし忘れるという見落としが防げたりする場合がありますので、臨機応変に活用しましょう。返信ボタンを押すと、相手のメール本文に対して引用符が自動生成される機能がメールソフトで設定出来ますので、便利に使ってみましょう」
- Q: メールで依頼やお願い事をする際、失礼にならない文章の語尾は?
- 語尾に困ったら、その直前の文章を工夫しよう。
「お願いをする文章の語尾は“~をどうぞ宜しくお願い致します”や“~して下さいますよう、お願い申し上げます”など、それほど種類は無いかと思います。そういう場合は、その語尾の手前の文章(上記“~”の部分)でカバーしてはどうでしょうか。例えば、“ご検討のほど~”や“ご高覧いただきますよう~”など、色々な言い方を駆使してみましょう」