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紙文書の内容に表れるビジネスマナー

インターネットの普及によって、多くの用件は電子メールでやり取りをされるようになりました。それでも時候の挨拶やお礼状については、引き続き紙文書を使用している会社も多く見られます。こうした紙媒体の文書にも、当然ビジネスマナーや社会人としての品格が求められるので注意しなければなりません。

紙文書の内容には順序がある

個人宛の手紙とは異なり、公式な紙文書には決まったルールがあり、このルールから逸脱しない事がビジネスマナーです。

このルールとは文書の順序の事です。

紙文書に書く内容の順序としては「頭語」「時候の挨拶」「定型の挨拶」「概要」「本題」「結びの挨拶」「結語」というものです。基本的にこの順序を変えて紙文書の書いてはいけません。

最初に短い挨拶を書いてから、すぐに用件に入りたいと感じるかもしれませんが、順序がマナーなのできちんと守りましょう。しかし紙文書のルールは内容の順序だけではなく、それぞれのパートにも決まりがあるので、それも守る必要があります。

頭語と結語に置けるルール

紙文書の最初の内容は「頭語」と呼ばれるものです。

この頭語とセットになっているのが文章の最後に来る「結語」です。
つまり、最初にどのような「頭語」を使ったのかに応じ「結語」が決まるので、このセットを崩してはなりません。

丁寧な文書の場合の頭語は「謹啓」「謹呈」「恭啓」「粛啓」になり、それにセットになっている結語は「謹言」「謹白」「敬白」「敬具」となります。

一般的な文書の場合の頭語は「拝啓」「啓上」「拝呈」「啓白」であり、これに対応する結語は「敬具」「啓白」「不一」「拝具」「かしこ(女性のみ使用可)」です。

急ぎの文書の場合の頭語は「急啓」「急白」「取り急ぎ」であり、結語は「草々」「早々」「不備」「不一」となります。

返信する文書では頭語が「拝復」「謹答」「復答」などであり、結語は「敬具」「拝答」「敬答」「草々」となります。

時候の挨拶は季節に対応

時候の挨拶である以上、その中には季節感が含まれている必要があり、1月から12月まで別々の挨拶があります。時候の挨拶では、気候や天気に合わせた心情を書き記す事で季節感を礼儀正しく表します。以下に例を挙げます。

1月 初春の光さやけく、新春の喜び
2月 春寒ややゆるみ、春寒のみぎり
3月 弥生の空美しく晴れ渡り、麗日のみぎり
4月 花曇りの昨今、春光うららかな季節を迎え
5月 若葉の緑が目にしみる季節、晩春のみぎり
6月 向暑のみぎり、清々しい初夏を迎え
7月 炎暑のみぎり、暑気厳しき折柄
8月 新涼のみぎり、残暑凌ぎ難き候
9月 新秋快適のみぎり、秋色次第に濃く
10月 秋涼爽快のみぎり、清涼の秋気身にしみて
11月 向寒のみぎり、小春日和の今日此頃
12月 忙月のみぎり、年の瀬もいよいよ押し詰まり

時候の挨拶として、これらの表現を使用することができますが、最近では季節にとらわれない「時下」という挨拶の言葉も多用されるようになってきました。

この言葉もビジネスシーンで礼儀正しい言葉とみなされますので、紙文書で使用することができます。

この時候の挨拶は、頭語が「急啓」「急白」「取り急ぎ」などの緊急性の高いものである場合、省略する事も可能になります。

定型の挨拶と呼称のマナー

時候の挨拶に続いてすぐに定型の挨拶を続けます。

定型の挨拶ということなので、すでに完成している挨拶の形を使用することができますが、会社によってすでに決っているケースがあるので、上司や先輩に訪ねてみましょう。

定型の挨拶の例を挙げておきます。

  • 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
    貴店いよいよご発展の由、心からお喜び申し上げます。
    貴社におかれましてはご盛栄のこととお慶び申し上げます。

こうした表現を使用することができるでしょう。

とは言え、全ての文章を暗記するのではなく「相手の会社の規模」「相手の立場」「性格」などを考慮に入れた上で、どのような挨拶を使用するかを決める必要があります。

また文章を書くためには自分側の言葉と相手側の言葉を区別しなければならず、その際には呼称を使います。

例えば自分の事を「私、わたし」と書き、相手の事を書く時は「貴殿、貴兄」という呼称を使います。

これは会社、氏名、努力、気持ち、授受、品物といった言葉を文章の中で使う場合にも同じです。きちんと正しい呼称を使うようにしましょう。

初対面でも打ち解けた雰囲気を作る

初対面の方と話す機会は、ビジネスシーンでは毎日のようにあります。ですから見知らぬ人となるべく早く打ち解けられるようにする事は重要であり、ビジネス上の一種のスキルとも言えます。

打ち解けた雰囲気は笑顔と挨拶から

根っからの社交的な性格という方もいらっしゃいますが、日本人の多くは基本的に内向的といわれており、初対面の人とすぐに打ち解けることを難しく感じるものです。まず、自分だけが初対面の方と打ち解けた雰囲気を作るのが苦手であるとは考えないようにしましょう。

克服するための努力をすることが誰でも必要であるという事です。
ビジネスパーソンとして、初対面の人とでも打ち解けた雰囲気を作り出せる事は一種のスキルとも考えられています。

「会社のために」「会社の顔として」親切に接する役を演じるつもりで、初対面の方を迎えるようにしている方も少なくありません。

つまり、多くの方は少し無理やりでも爽やかな笑顔を作り、話題を提供するように努力をしているということです。

最初はぎこちないかもしれませんが、意識的に「笑顔」を見せ、「挨拶」を明るく行なうことで、だんだんと習慣となり、こうした笑顔と挨拶が自然なものとなってきます。

初対面の方と接するのが苦手な方にとって笑顔はぎこちないものになってしまう可能性があるため、初めは鏡の前に立って自分で笑顔を確認するようにしておきましょう。

「笑顔」「挨拶」に加えて必要になるのは、軽い会話によって親しい雰囲気を作り出すという事です。

軽い世間話でも明るい雰囲気を作り出せる

初対面の方に接する時は、「何を話せば良いのだろうか」と心配になってしまうものです。

いろいろな話題を考えたものの、全く使うことができず固い雰囲気のまま商談が終わってしまったという事もあるかもしれません。

しかし、あまり難しい事を話さなくても「世間話」でも十分打ち解けた雰囲気を作り出すことはできます。

どのような話題を提供できるでしょうか?

例えば「天候」「時事ニュース」「食事情」「スポーツニュース」などはオーソドックな話題ではあるものの、誰でも興味を少なからず持っているもので、さらに答えやすい質問です。さらに取引先への訪問の場合は「会社の周りの環境」「会社の話題」などを選ぶこともできます。

「とても綺麗なオフィスですね」「この辺りは公園もあるので、昼休みに外に出ても気持ちいいかもしれませんね」というような話しができるでしょう。

しかしどんな話題でも良いという事ではありません。

「個人の思想が関係している話題」「答えにくい話題」「政治的な話題」「業界内のライバル会社の話題」「自分たちが多忙を極めているという話」などは場が和むような話題ではありません。

「どの政党を応援しているのですか?」「貴社の経営状態はどうですか?」「宗教はなんですか?」「休みの日は何をしていますか?」という質問や話題がこれに当てはまるでしょう。

誰でも答えやすい質問であり、後に続くような内容の話題が良いという事になります。

人見知りや口下手を克服する方法

「自分は口下手だから」といつまでも言っていると、最後まで自分を変えることはできません。やはり、意識的に努力をして人見知りや話し下手を克服できるようにしましょう。

「話し下手」の方は次の点を意識できます。
事前に複数の話題を準備しておき、箇条書きにしてメモやタブレットに記録して、それを確認しながら話すという事です。だんだんと慣れてくると箇条書きが頭の中にあれば良くなるので、まずは実践をしてみましょう。

さらに毎日のニュースを確認して、ニュースの話題に強くなることもできます。

人見知りの方であれば、商談以外の場所で、誰とでも自分から話すようにしてみましょう。社内にいる清掃の方、出入りの業者、社員食堂の人など、普段あまり話す機会のない方に話しかけて自分を訓練しましょう。

商談を行なう時には、数字や利益などについても同時に考えなければならないので、さらに余裕がなくなってしまいます。

ですから、まず身近な初対面の方と会話をして初対面の人と話す事に慣れていきましょう。社内に初対面の方がほとんどいなくなるまで、いろいろな人に話しかけた頃には人見知りは克服できているはずです。